Montessoriモンテッソーリ教育
当園が目指す「いのちの教育」は、敬虔なカトリック信者であるマリア・モンテッソーリが確立したモンテッソーリ教育によって支えられています。
イタリアの女性医師でもあったマリア・モンテッソーリは、こどもの行動を詳細に観察・研究し『子ども達は、初めから自分を伸ばす力を持っている』ことを発見、一つの教育方法として確立しました。
モンテッソーリ教育は、子どもが本来持っている自分の好きなことに「からだ」「こころ」「あたま」を使いながら五感を通して取り組むことで発達させていきます。この教えは欧米を中心に広がり、1世紀を経た今でも世界中で受け継がれています。
モンテッソーリ教育の特徴
モンテッソーリ教育では、子ども達の発達欲求を満たすための活動を教具を用いて行います。
この活動を「お仕事」と呼びます。自分で自分の「お仕事」を選び、納得いくまで繰り返すことで、達成感や充実感を味わいます。
モンテッソーリ教育では年少、年中、年長の年齢の異なる子ども達が、同じクラスの中で「お仕事」などの活動を行います。
年上の子がまるで小さな先生のように年下の子の面倒を見ることもあれば、年下の子が「自分もできるようになりたい」と、お兄さんやお姉さんの活動に自然と憧れたりすることもあります。お仕事にチャレンジするだけがすべてではなく、活動を通してお友達や職員と関わり合う「環境」そのものを、私達は大切にしています。
また、体の成長度が近いため体育指導やリズム活動、食育、絵画活動などは同年齢で行います。
異年齢縦割りクラスでは温かく思いやりある連帯感を、同年齢横割り活動では高い目標へのチャレンジ精神を育んでいきます。
モンテッソーリ教育の5つの領域
子どもは、「動くこと」で成長していきます。2歳頃になると、子ども達は何でも自分でやりたがるようになります。
大人にとっては何の変哲もない動きが、子どもにとっては多くの学びの機会となります。
子ども達の「自分でする!」という気持ちは、さまざまな動きを「今」身につけようとする子ども達の成長欲のあらわれなのです。
そして、好きなことを子ども達一人ひとりが満足いくまでやり遂げるということが、モンテッソーリ教育では大切にされています。やりたいことをすることが、能力の成長を促すことにつながっているのです。
教具を使ったお仕事の時間はもちろんのこと、幼稚園での日常生活の中にも大いに取り組まれています。
例えば「ふく」、「しぼる」、「そそぐ」、「はこぶ」といった一連の動きは、お弁当の当番、小動物のお世話、花壇の水やりなどの活動でも大いに生かされ、大切な学びの経験となるのです。
その他にも洋服の着脱、掃除、洗濯、食事の準備、あいさつやマナーなども、こうした活動が関連づけられ、たとえ自分ではできなくても、周りのお友達やお兄さん・お姉さんを見ていることで、子ども達はたくさんの情報を受け取っています。
人は感覚を通じて、ものごとを理解します。「感覚」とは、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚といった「五感」のことです。
「1cm角のサイコロ」を大人はすぐに想像することができます。それはいままでの「感覚」として得た経験があるためです。しかしそれをまだ知らない子ども達はサイコロという概念をはじめから持っていません。
それが四角いのか丸いのか? 1cmとは何のことを指しているのか?ひいては、四角とはどういう形なのか?丸とは何のことなのか?という概念は、まだないのです。
まわりの経験を得るための唯一の方法は、感覚器官を使うことです。
子ども達は五感を通してさまざまな情報(色、形、大きさ、太さ、長さ、肌触り、音の強弱、香り、味など)を吸収します。道端で小さな虫をじっと見つめたり、大人では気づかないような周囲の音に興味を示したりするのも、感覚を洗練させるための行為と言われています。
モンテッソーリ教育では、本物の素材感を知ることを特に大切にしています。木製のスプーンや革製のカバンなど、本物と同じ素材でできたミニチュアの教具に「触れる」といった経験も子ども達の感覚を磨いていきます。
言葉の発達は、その子によって時期がさまざまです。
まだ興味が湧いていない子に、無理やり押し付けるということはよくありません。
他のお仕事と同じように、言語との関わりも子ども達が自分で選んだ「その時」が、自然なきっかけとなります。
モンテッソーリの言語教育は、母国語を正確に理解し、母国語で表現する能力を養うことを目的としています。
その内容は、「話し言葉」と「書き言葉」に分かれます。
「話し言葉」は、生活環境の中で吸収して身につけていくものです。書き言葉である「文字」についても、無理なく習得するためのきめ細かいステップが体系化され、たくさんの言語教具を整えています。
子ども達の「これなあに?」という質問の嵐も、言葉の発達のまっただ中にいるからこそ。
こういった準備期間とも呼べる活動がベースとなり、子ども達は次第に文字への興味を持ち始めます。
「数」を、どのようにして伝えたらいいのでしょうか?
例えば10cmの短い棒1本と、10cmを10本つないだ1m分の長さを比較します。このようなお仕事を通して、1mという長さは10cmが10本あることなのかと感覚的に理解し、感覚と数とのリンク(関連性や連続性)を体得していきます。
また、「つむ棒箱」という教具では0~9の箱の中にその数分の棒を入れていきます。0の箱には「何もない」という概念や、9に入った本数を手で握った感覚を感じ取っていきます。
数を表す要素として「量」「数詞」「数字」があることを理解し、それぞれが一致した時に初めて「数」というものを理解できるという考え方で学べるようにしています。
子ども達の成長とともに、とりまく「世界」も広がっていきます。年長さんになる頃には、宇宙、地球、世界といったことに大きく興味を持ち始めます。子ども達に芽生えた知的好奇心に応えるため、教具を使って地球や宇宙に触れていきます。
たとえば教具の一つである「陸と海の地球儀」は、感覚や言語とリンクしながら地球を学ぶのにとても役立ちます。
この地球儀では、触るとざらざらとした感触の部分が「陸」に、つるつるの部分が「海」に表現されています。
世界地図では、大陸ごとに色分けがされ、それを正しい位置にはめ込んでいくことができます。さらに、その国の民族衣装を色ぬりしたり、説明を書いたりして、地理的なもの、文化的なものを色や言葉で認識していきます。
モンテッソーリは知的分野を言語と数だけでなく文化的要素にも見出しています。